選手にどう届いているかを考えてみませんか
私たちは、選手に指示をしたとき、「指示をしたつもり」になってはいないでしょうか。
詳しく伝えたのにミスをしたとき、思わず感情的になってしまうことはありませんか。
そのとき、選手はどんな状態だったでしょう。
試合中や練習中、指導の場面で、
私たちは日々、選手に声を掛けています。
・「集中しよう」
・「切り替えていこう」
・「もっと思い切って」
・「しっかり振って」
・「足を止めないで」
・「ボールをよく見て」
・「いつものフォームで」
どれも、選手を思っての言葉です。
メンタル面だけでなく、技術的にも間違ったことを言っているわけではありません。
だからこそ、少しだけ立ち止まって考えてみたいのです。
その声掛けは、今の選手にどんなふうに届いているだろうか、と。
伝えたことと、受け取られたことは違うことがある
多くの指導者は、選手の成長を願って言葉を選んでいます。 ただ、選手が
- ミス直後で気持ちが揺れているとき
- 緊張で頭がいっぱいなとき
- 自信をなくしかけているとき
そんな状態では、言葉の意味よりも先に、感情が反応してしまうことがあります。
「集中しよう」という言葉が「何をすればいいのかわからない」と受け取られることもあります。「切り替えていこう」が「切り替えられない自分はダメだ」と感じさせてしまうこともあります。
指導者は「伝えたつもり」でも、選手はまだ受け止められる状態ではなかったのかもしれません。
これは、言葉や指示が悪いのではありません。 選手の状態によって、聞こえ方が変わるだけなのです。
声掛けで大切なのは「正しさ」より「今」
スポーツメンタルの視点では、「正しい言葉」よりも「今、選手が受け取れる言葉かどうか」を大切にします。
【チェックしたい3つの視点】
- 今、考える余裕はあるか
- 気持ちは落ち着いているか
- 次のプレーを選べる状態か
この視点があるだけで、声掛けはぐっとやさしく、伝わりやすくなります。
少し言い換えるだけで、届き方は変わる
例えば、
- 「ミスしないように」ではなく**「次は〇〇だけ意識してみよう」**
- 「気持ちを入れて」ではなく**「一度、呼吸を整えていこう」**
選手が“今すぐできる行動”を思い浮かべられると、言葉は自然と力を持ち始めます。
指導者の声は、選手の安心になる
選手は、常に自分で気持ちを整えられるわけではありません。 そんなとき、指導者の一言が
- 気持ちを落ち着かせ
- 視野を広げ
- 次の一歩を支える
安心の土台になることがあります。
だからこそ、「うまくさせよう」とする声掛けだけでなく、**「戻れる場所をつくる」**声掛けも、とても価値があります。
最後に
その一言は、本当に選手に届いていたでしょうか。
「伝えたか」ではなく「今の選手が受け取れたか」
この視点を持つことは、これまで大切に積み重ねてきた指導を、さらに深く、生かしてくれます。
指導者が何かを改めなければならない、という話ではありません。 声掛けの「届き方」に目を向けることで、これまでの指導が、より深く生きてきます。

